想定外のリスクとは

将来に起きることは誰も予知することはできませんが、「こういうことは、起きるかもしれない」と想定できることはあります。

「想定外の災害や事故」という場合、

  • その事象が起きること自体が想定できない
  • その事象が起きることは想定したが、どの程度のレベルなのかは想定できない

の2つの意味があります。

阪神淡路大震災では、関西で地震が起きること自体が想定外だった、すなわち前者のケースです。関西では1950年以降の約50年間では、阪神淡路大震災以外に大きな地震はほとんど起きていませんが、それ以前の50年間では、マグニチュード7前後の地震が何度か起きています。人間は自分が生きてきた間に経験したものだけで判断する傾向があります。過去の事実をよく調査すれば、必ずしも関西では地震が起きないとは言えなかったのではないでしょうか?

東日本大震災では、地震が起きることやそれに伴い津波が来ることも、ある程度想定されていました。しかしここまで大きな地震や津波が起きることが想定外だった、すなわち後者のケースです。科学的観測データが残っている地震や津波は、過去ここまでの大規模なものはなかったかもしれませんが、文献などで歴史的事実を追っていくと、かなり大規模であったと思われる地震や津波が、この地域で過去に何度も起きていたことがわかります。

本当に全く想定できないことは仕方ありませんが、「想定外」と片づけられていることの多くが実は「想定はできた」が「知らなかった」だけということではないでしょうか?危機管理を行う場合、安易に「想定外」と断定せずに「本当に想定できなかったのか?」を検証し、そこから反省点や教訓を学び取っていく姿勢が重要です。

リスク想定のための事前調査を十分行う

リスクマネジメントにおいては脅威を想定し、その可能性と影響を評価する、いわゆるリスクアセスメントで、どこまでリスクを妥当に洗い出し評価できるかが重要です。

ここがいい加減だとその後の対策も「すぐ思いつくこと、やり易いこと」だけをやることになってしまい、危機発生時には、多くのことが「想定外」だったとされてしまいます。

「想定が不可能だった」のではなく「想定の努力を十分しなかった」という類の「想定外」を減らすためには、

  • 過去の事実を調査する。
  • 世の中の事例を調査する。
  • 公表されているデータを活用する。

といった調査に時間をかけ、綿密に行うことが必要です。

 事業継続というと、すぐにBCPのような書類を作成する作業に入ろうとしがちですが、何事も事前の調査と、活動全体の構想に十分時間をかけることが重要です。

外部の脅威でなく内部の資源に着目

リスクには、外部で発生する脅威という側面と、その結果内部に発生する影響という側面があります。外部で発生する脅威について、全ての脅威を洗い出すことは、なかなか難しいでしょう。

しかし脅威が現実となった結果、組織内部で発生する影響は、ある程度は想定がしやすくなります。

そこで事業継続では、ボトルネック資源すなわちこれが使えなければ、初動対応や事業継続に致命的な影響を与える資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を予め洗い出しておき、それを確実に使えるように準備しておきます。

そしてそれらが何らかの脅威によって(想定不可能な脅威であっても)使用できなくなった場合のリスクを評価し、対策を打っておきます。

資源への影響をなるべく小さくするような対策、代替の資源を準備するなどの対策です。

そうすれば、仮に施設全体としては災害などの事象の影響を受けたとしても、重要なボトルネックとなる設備などが必ず使えるように、安全に管理されていれば発生した事象の影響を緩和し早期に収拾することができます。

また対策をボトルネック資源に絞り込むことで、対策コストの低減を図ることができます。

リスクアセスメント結果を経営レベルで検証

リスクアセスメントでは、リスクをいかに洩れなく想定し、その可能性や影響の大きさをいかに適切に評価できるかというところが、活動の基礎となるため、この結果が妥当でなければ、全ての対策や活動が無意味になってしまう危険性があります。

事業継続は最終的には、企業の存続にも影響を及ぼしかねない経営テーマです。

リスクアセスメントを担当者に任せきりにするのではなく、経営会議などの場で、リスクアセスメントのプロセスを辿って、じっくりと時間をかけ検証することが重要です。

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